The Music of William Arkle and Other Recordings
 Robert John Godfrey
 2017年
 1980年代後半に、ファンクラブ限定でカセットテープのみでリリースされた作品の初CD化。非常に貴重な音源であるため、長年リリースが待望されてきたが、レーベルが現在もエニドと係争中のINNNER SANCTUMであるため、権利関係などまるで無視の完全なブートであろう。
 全6曲収録中、1〜3曲目が、エニドと交流のあったアーティスト、ウィリアム・アークルが作曲した曲を、R.J.ゴドフリーがアレンジと演奏をしたもの。内1曲目の「Seascape」のみ、コンピレーション盤「Hearling Hearts」でCD化リリース済みで、残りの2、3曲目は初CD化である。近、現代的なシンフォニーの趣きで、ある意味アンビニエント・ミュージックのようでもあり、エニドの世界観からはかなり遠い。
 4、5曲目がR.J.ゴドフリーのソロ作品で、4曲目はおそらく初出である。この1曲でのみ、エニドの世界観にかなり近い甘美なシンフォニーが堪能できる。5曲目の「Reverberations」は、エニドのCDにはボーナス・トラックとしてたびたび収録されてきたもの。ただ本作で聴けるオリジナル版、後のCD版とはミックスが違う気がするんですが(気のせいか...??)
 ラスト6曲目の「Evensong」は、例のサックスがリードを取っているバージョン。これもコンピレーション「Tears of The Sun」ですでにCD化済み。
 ロック的な要素はほぼ皆無なアルバムなので、エニドのコアなファンでない限り、手を出す必要はないかと思うんですが...。
 The Art of Melody
 Robert John Godfrey
 2013年
 2000年代に入って、「R.J.ゴドフリーによるピアノ・コンチェルトのアルバムを、出す、出す」と言われ続けてきたものが、2013年になってようやく実現した。しかしながら、当初の企画はかなり縮小、ゴドフリー書き下ろしの新作ピアノ・コンチェルトになるはずが、既存のエニドの曲をピアノ・ソロで演奏したものに、シンセ・オーケストレーションを加えたものとなった。(2曲のみ、生のオーケストラも起用している。)
しかしながら、内容的には極めて「素晴らしい」。R.J.ゴドフリーのピアノ・ソロということで、どんなに大上段に構えたものになるかと思いきや、これがイージー・リスニングのように大変聴きやすい内容になっている。元曲がエニドのナンバーなので、メロディーが美しいのはもちろんのこと、ムード・ミュージックのようにリラックスして聴ける良作である。特に、エニドの1stに収録されていた「Lovers」の再演には、ファンなら誰しも涙するだろう。
ちなみに上の写真はエニドのWebサイトから直接購入したので、R.J.ゴドフリーの直筆サイン入りである。
 Far and Forgot from The Lost Lands
 Francis Lickerish
 2012年
 フランシス・リカーリッシュの実質ソロ・アルバム第2弾。名義的にも今回はリカーリッシュ名義である。
 作風は完全に前作の延長線上で、全編、エニド風超ド・シンフォである。ギターの音色もエニドの頃そのまま。しかもアルバムのあちらこちらにエニドのフレーズが散りばめられ、アルバムのクライマックスに至っては、名曲「ファンド」のフレーズまでが飛び出す。古いエニドのファンには大喜びの内容である。
 が、70分近い全体が軒並みド・シンフォの盛り上がりようなので、ちょっと耳が付いていかないのと、リカーリッシュ自身によるシンセ・オーケストレーションも、やはりロイヤル・アカデミー出身のR.J.ゴドフリーのそれに比べると、技術的にはやや負ける気がする。
 人脈的には、トニー・フレア、テリー・パック、マーティン・ラッセルなど、「現エニド人脈ではない」旧エニド・メンバーらが参画している。当時のリカーリッシュのインタビューによれば、「R.J.ゴドフリーとの関係を再開させたのは云々」と述べており、両者は完全に袂を分かったようである。
Craft
Craft
1984年
「Six Pieces」で初期エニドが解体後、キーボードのウィリアム・ギルモアとベースのマーティン・ラッセルが結成したバンド。
良く「小型エニド」のように言われる彼らだが、1.基本的にキーボード、ベース(ギターのサウンドも出している)、ドラムスの3ピース・バンドであること。 2.音楽の構造が、キーボードによるリフを基本としていること。 などがあり、本質的にはエニドとは異なった指向のバンドである。
しかしながら当アルバムの音楽性、完成度は非常に高く、エニド・ファンにも十分アッピールする内容の1枚といえよう。
なお、本作はCD化もされている。
Oceanworld
Autumn
1999年
初期エニドのメンバーであった、ドラムスのロビー・ドブソンとキーボードにニック・マグナスが在籍していた幻のバンド。N.マグナスはエニドのアルバムには一切クレジットがされていないが、初期メンバーとして確かに在籍していた。
1977年と78年の録音のコンピレーションだが、オリジナルのアナログ盤が存在していたのか??など良く判らない。
音楽的には典型的なイギリスのシンフォニック系プログレで、際立った個性こそ感じないものの、繊細なメロディーや音使いに、エニドに通じるものを感じる。
Fall of Hyperion
Robert John Godfrey
1974年
エニドのプロトタイプとして現在まで語り継がれる、R.J.ゴドフリーのソロ・デビュー作。もともとがボーカル入りのバンドとして予定されていた、エニドの初期イメージを垣間見ることができる。
全体的にリズムがドラム・レスでクラシカル・パーカッションのみなので、ロック・フォーマットからはかなり遠い。オペラ的なボーカルにクラシカルなピアノ、そしてオーケストレーションにはまだメロトロンが使用されている。そして、本アルバムで聴かれるモチーフが、そのままエニドの音楽にも引用されているのだから、やはりプロトタイプである。ただしゴドフリー自身がイメージしている音楽の理想は、ここではまだ十分に実現し切っていない感がある。
また余談だが、本作のパーカッションにはトリスタン・フライが参加している。後のジョン・ウィリアムスによるクラシカル・フュージョン・バンド、「スカイ」との人脈的接点がここに感じられるのだが、いかがなものだろうか??
あと全く個人的な思い入れだが、3曲目「Water Song」中間部でのパイプ・オルガンのソロの美しさは、もはやこの世のものとは思えない。
To Wake The King
Secret Green
2009年
フランシス・リカーリッシュの音楽界復帰後、リリースされた新バンドのアルバム。バンドの正規メンバーとしてウィリアム・ギルモア、ゲストとしてR.J.ゴドフリーとデイヴ・ストーレイ、プロデュースがマックス・レッドと、エニド人脈で固めた1枚。
内容的には、正にエニドの延長線上にあるような、超ド・シンフォニック・ロックである。さらに過去のエニドの楽曲のモチーフが、あちらこちらで引用的に登場する。F.リカーリッシュのギターの音色も、往年のエニドそのままであり、エニド・ファンには感動の内容。
あえて本家エニドとの違いを言えば、ケルト色が強い部分。ケルティックな女性ボーカルもフューチャーされている。
当アルバムリリース後、リカーリッシュのエニドのコンサートへのゲスト参加や、エニドとシークレット・グリーンのジョイント・コンサートなどに発展している。
5.メンバー関連アルバム編

 

 

 

 

 

 

 

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エニド完全ディスコグラフィー
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