Live at Loughborough Town Hall、1980 |
2020年 |
2020年の春に突如リリースされた、エニドの1980年のライヴ・アルバム。バンドのサイトに一切情報がないことから、おそらくバンドの許可なしに無断でリリースされたものであろう。近年のエニド関連のリリースの中では、最も衝撃的なリリースである。 おそらくソースは放送音源で、アルバム「Six Pieces」発表後のライヴの模様を、オフィシャル・レベルの高音質で収録している。もちろん、F.リカーリッシュも在籍時で、ドラムはC.ノースが担当している。「Six 〜」ではドラムはロビー・ドブソンが担当していたので、そのアルバムリリース後のツアーでは、すでにドラマーがチェンジしていたことが裏付けられる。また、キーボード奏者などは、最大で4人体制!!である。 さらに驚くべきはその収録曲で、「665 The Great Bean」や「Golden Earring」など、ライヴで演奏するなどこれまで聞いたことのないシングル曲が、これまた素晴らしい内容で演奏されている。さらに聴きどころは3rdのオープニングナンバー「Humouresque」で、スタジオ・レコーディング版より、こちらのライヴのほうがより感動的なのではないだろうか?? 筆者は実はこの時期のエニドのライヴをブートのカセットテープで所有しているのだが(ほぼ、宝モノ(笑))、それと同時期のライヴ音源がCDでリリースされてしまったことに、未だに驚きを隠せない。初期エニドが好きな向きには、必聴のライヴ盤である。 |
Robert John Godfrey 70th Birthday Concert Live at Union Chapel |
2018年 |
R.J.ゴドフリーの70歳バースデー・ライヴの模様を収録したCD2枚組のライヴ盤。「ゴドフリー自身がお気に入りの曲を選曲した」とだけあって、1stは後半全部と「ザ・ラヴァーズ」、2ndに至っては全曲が収録されている。その他にも3rdの名曲「Humouresque」や、「The Spell」から「Spring」など、ほぼ全盛期のド・シンフォ路線の曲で網羅されていて、ファンには嬉しい限りの1枚である。 演奏メンバーはゴドフリー御大(ここでも、もはやエニドのメンバーではなく、ゲスト扱いになっている)と、ジェイソン・ダッカー、ザック・ブロック、そして新任のドラマー、ドミニク・トーフィールドの4人である。 特筆すべきは初期の全盛期を上回る壮大なオーケストレーションで、その複雑さはこのコンサートのために新たにPCのバッキング・トラックを作成し直したと思われる。そこにユニオン・チャペルの教会残響が加わることにより、名盤「ライヴ・アット・ハマースミス」を超えてしまうほどの壮大なエニド・シンフォニーを堪能することができる。エニドの近作の中では、古くからのファンには一番オススメできる1枚であると、断言する。 新任ドラマーのD.トーフィールドも、エニドのあの複雑なドラミングをよく健闘していると思うが、ミックス的にはやや抑え目である。 近年のエニドには、紆余曲折いろいろあったが、やはり初期のこのテのサウンドが一番しっくりくると改めて思うのは、筆者だけだろうか?? |
LIVE AT THE CITADEL |
2018年 |
2017年の最新ライヴ盤。レコーディング・データ等、何も記載がないのだが、R.J.ゴドフリーとZ.ブロックの2人のキーボードと、J.ダッカーのギターのトリオ編成に、おそらくPCのバックグラウンド・オケも併用して演奏されている。クレジットに「R.J.ゴドフリー&ジ・エニド」となっているところが、「ゴドフリーは引退して、もう正式にはメンバーではない」といったところか...??一応ライヴ録音のようだが、エンディング以外、拍手や歓声は一切入らないので、スタジオ・レコーディングのような印象を受ける。 全編、エニドの初期の代表曲を、リズム・セクションなしで演奏している。筆者個人的には、3rd「Touch Me」の名曲「Homouresque」の再現が嬉しい。いかんせんドラムス抜きなので最初は面喰うが、何度も良く聴けばエニド・ミュージック本来のメロディーの美しさが際立った、好盤である。 ここでも特筆すべきは、J.ダッカーのギターの上達ぶりである。完全にF.リカーリッシュの領域に達してしまっている。R.J.ゴドフリーが過去のインタビューで「エニドでは、ギターをバイオリンのように弾くことが要求される」と語っているが、エモーショナルな感情表現が豊かな彼のギター・プレイには、正にその感がある。 この内容で、次はフル・バンド編成でのライヴ盤がもうすぐ予定されているので、超期待である。 |
LIVE IN TOKYO 2016 LAST SHOW OF ROBERT J.GODFREY ON STAGE |
2017年 |
正に奇跡的であった2016年のエニドの来日公演をライヴ収録した、日本独自企画盤。来日公演は、1日目は1st「In The Region of The Summer Stars」を中心とした、2日目は2nd「Aerie Faerie Nonsense」を中心としたセットリストであったが、一部2夜で重複する曲を除いて、2夜のコンサートがCD4枚に完全収録されている。筆者もこの2夜は生でライヴを観たが(しかもプレミアム席で!!)、本CDは良いメモリアルとなった。 実際に生でコンサートを観ていて、そのすさまじい音圧感に圧倒されたのだが、一方では演奏で一部にやや不安定な感があったことも否めなかった。しかしこのCDではおそらくポスト・プロダクションで完全に修復したのだと思う、完璧な演奏が楽しめる。往年の名曲の数々や「Fand」の完全再現など、コンサートを生で観なかった人にもエニド来日公演の素晴らしさが伝わる、好内容である。 特に筆者が嬉しかったのは、実は初日はコンサートの途中でギターの音響関係のトラブルがあり、演奏が中断したのだが、その幕間を埋めるようにR.J.ゴドフリーが即興でピアノ・ソロを演奏した、その演奏までが収録されていることである。 ちなみにこのコンサートを最後に御大のR.J.ゴドフリーはコンサート・ステージから引退するという触れ込みだったんですが、本国イギリスでは依然ちょくちょくライヴのステージには立っているようで...。 |
Live With The City of Birmingham Symphony Orchestra & The Warwickshire County Youth Choirs |
2012年 |
エニドの2011年のライヴのCD2枚組。こちらもオーケストラおよび合唱団との競演盤。ディスク1に旧曲を、ディスク2に「Journey’s End」完全再現を収録している。上述のライヴ盤から1年しかインターバルがなく、また収録内容も類似している。 特筆すべきは、コンサートの最後でバークレイ・ジェームス・ハーヴェストの「モッキン・バード」と、昔は彼らのライヴのアンコール定番であった「ダムバスターズ・マーチ〜希望の栄光の国」を収録している点で、この2曲を聴きたいでけでも「買い」である。 ただ、「モッキン・バード」はやっぱオリジナルのフル・オーケストラ版が個人的には良かったと思うし、「ダムバスターズ〜」はまあ、アンコールとして復活してくれただけで嬉しい...といった印象ではあるけれど。 どうせライヴで旧曲を復活させるんだったら、「Mayday Galliard」や「Humouresque」を、早く再演してくれませんかねぇ〜。(ひとりごと...(笑)) |
Final Noise |
1988年 |
「The Seed And The Sower」リリース後の、エニドの解散コンサートを収録したライヴアルバム。ここからはオリジナルもCDである。 曲目的には後半に近い「Salome」以降からを中心に選曲されており、前述の3枚とはまた違った時代を代表するライヴ・アルバムと言えよう。例によってテープによるバックグラウンド・オケの使用が多大なのだが、それでも「The Seed〜」からの大シンフォニーをライヴで再現してしまうのだから、やはりスゴい人たちである。 なお、このコンサートにはF.リカーリッシュがゲストで出演したという説があるが、クレジットはされておらず、たびたび真偽が議論の的となっている。 本作は現在まで、1度もリマスターおよびリミックスは行われていない。 |
The Stand |
1984年 |
R.J.ゴドフリー、S.スチュワート、C.ノース体制時のライヴアルバム。基本的には「The Stand」名義のファンクラブ限定リリースである。 「Something Wiched This Way Comes」からのナンバーを中心に収録してあるが、この時期のエニドはライヴでバックグラウンド・テープを多用しており、生のライヴとしての躍動感にはやや欠ける。ドラムと、ギター1本と、キーボード1台、それにリードボーカル以外のパートは全てテープであると思われる。 曲目として特筆すべきは、エルガーの「エニグマ変奏曲」から「Nimrod」が初めて収録された点で、エニドの英国然とした一面を垣間見ることができる。 本作はCD化もされているがマスターテープは焼失して存在していないため、アナログ盤起こしのものである。 |
@Live at Hammersmith Vol.1 A 同 Vol.2 |
1983年 |
エニドが満を持して発表した、シンフォニックロック史上最高峰のライヴ・アルバム。例のシンセ・オーケストレーションは、通常2人、最大4人のキーボーディストで再現されている。「スタジオでのオーバーダビングは一切していない」とクレジットにあるが、このあたりは「本当??」みたいな感じは多少ある。イギリス国歌に始まり「威風堂々」で終わるライヴは、全編壮大なロック・シンフォニーの嵐。選曲も1stから3rdまで代表曲がまんべんなく網羅され、ファンにとってはバイブル的な究曲の2枚。「アレを本当にライヴで再現していた」事実に、いまだに驚きを隠せない。 本作は最初のCD化の際にはVol.1、2の表記がなく、CD1枚ものでVol.2のB面が完全カットされ、しかも音質があまり良くないものだった。その後、国内盤紙ジャケ等のCD再リリースにあたり、初めてVol.2のB面が復刻され、音質もまともになり完全なCD化となった。従って、中古CDなどで購入する際には、Vol.1、2の表記のあるものをぜひ選びたい。 |
Live at Town Hall Burmingham |
2011年 |
エニドの2010年のライヴ・アルバム。先行で同名のDVDがリリースされ、後追いでCDがリリースされた。DVDの音声トラックそのままではなく、CD化に際して新たにミキシングされており、オーケストラのダイナミズム等はこちらの方が上である。 同名のDVDは視覚的映像がある分だけ、PCによるバッキング・トラックの「弾いていないけど音が出ているパート」がちょっと気になって、ライヴとして楽しむには少々困ったものだった。こちらのCDは「思いだけでも」純粋の生演奏だと思って聴いてしまえば良いわけで、ライヴの記録としてはこちらの方が端的に楽しめるかも知れない。 CD2枚組で、新作「Journey’s End」と1st、2ndの曲が主に収録されている。また、コンサート後半には生のブラス・セクションとパーカッションによるオーケストラが共演している。2ndの曲にはゲストとしてF.リカーリッシュが久々の現役復帰で参加して「Fand」等を演奏しているほか、名曲「The Lovers」のピアノ生演奏があるなど、古くからのファンには涙ものの内容である。 |